ワクチンについて

千里ライフサイエンスセンター

約1年ぶりの投稿です。昨日(2024年9月3日)、千里ライフサイエンスセンターで開催された、ワクチン開発についてのセミナーを聴講しに行ってきました。そのセミナーの最後にパネルディスカッションが開かれました。パネルディスカッションのテーマは「100 days mission 達成に向けて」でした。そのパネルディスカッションの最後の方で、フロアーから、mRNAワクチンに関する「血栓症」などの危険性についての発言がありました。パネルディスカッションの座長からは、水でない限り危険は存在するとの回答がありました。そのやり取りで私が思ったことをここに述べておきたいと思います。

「100 days mission」というのは、2021年コーンウェルG7サミット(主要7カ国首脳会議)で提案された目標で,WHOがPHEICを宣言してから100日以内に危機対応医薬品(ワクチン,診断薬,治療薬等)の実用化を達成することをめざすというものです(資料1)。PHEICというのは、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態 」のことです(資料2)。ワクチンに関して言えば、WHOからこの宣言が出たら、100日以内にワクチンを作ろうという目標の設定であります。この目標を達成するのが困難な事象というのは、今回の新型コロナのような「想定外の病原体」の出現に起因するパンデミックが発生した場合です。つまりワクチンの準備ができていなかった場合に限られます。こういう場合、「緊急事態」とはどういう事態なのかについて、国ごとに、あらかじめ考えておかなければならないように思います。このミッションを達成しうるワクチンは、現状、mRNAワクチンしかありません。今回の新型コロナウイルスによるパンデミックに対して、mRNAワクチンによる対応ができたのは奇跡としか言いようがありません。確かに、mRNAワクチンには、血栓症などのリスクはありますが、それにも増して、ベネフィットの方が大きかったように思います。「緊急事態」の場合、政府は国民の命を守るための行動を起こさねばなりません。その行動の1つが、ワクチンの接種でした。不幸にも、ワクチンによって、血栓症になってお亡くなりになった人や、ワクチンによる後遺症に悩んでおられる人に対しては、政府からの十分な保障を実施することも必須事項だと思います。「平時」とは異なる「緊急事態」とはどういう事態なのか、私たちは、誤解を恐れず、感情的にならず、もっと真正面から議論した方がいいと思います。

今後ですが、今回の新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンが引き起こした有害事象への反省の念を込めて、「100 days mission」を達成することが可能な、迅速で、より安全なワクチン開発の手法を確立することが、我々に課せられた責務なのではないでしょうか。

(資料1)「100 days mission」 https://yodosha.co.jp/jikkenigaku/keyword/100%20days%20mission/id/122089
(資料2)「PHEIC」 https://www.yodosha.co.jp/jikkenigaku/keyword/index.html?id=3551

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