ワクチンについて(その2)

千里ライフサイエンスセンター

さて、新型コロナウイルスに関するファイザーやモデルナのmRNAワクチンが、緊急事態のワクチンだったとして、次世代のワクチンとして、迅速で、かつ、より安全なワクチンの登場が望まれます。今、どのようなワクチンが登場してきているのか、いくつかご紹介したいと思います。

(1)ダイチロナ筋注(第一三共)
これは、新型コロナウイルス用の、初の国産のmRNAワクチン(2023年11月承認(オミクロン株XBB.1.5対応))です。従来のmRNAワクチンと違って、新型コロナウイルスのスパイクタンパク全体ではなく、体細胞のACE2受容体に結合する部分(RBD)をターゲットとする中和抗体のみを生成するように設計されています。これにより、抗体依存性感染増強(ADE)の発生リスクを低減しています。

従来のmRNAワクチンのように、スパイクタンパク全体をターゲットとした場合、生成される中和抗体は、多種類できてしまいます。スパイクタンパクには抗体が認識する領域が複数あるので、領域ごとに中和抗体ができ、多種類の中和抗体ができてしまいます。多種類の中和抗体の中には、逆に体細胞のACE2受容体への結合を促進してしまう中和抗体もあるそうです(参考2)。そのような中和抗体が多くできてしまうと、ウイルス感染した際、免疫細胞もウイルス感染してしまう頻度が多くなり、その免疫細胞は自爆。それが多発すれば、免疫暴走(サイトカインストーム)を引き起こし、重症化してしまう危険がありました。

(参考1)「抗体依存性感染増強(ADE)」https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/011900001/22/08/22/00425/
(参考2)「感染を増強する抗体を発見」https://www.amed.go.jp/news/release_20210525-02.html

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