免疫力とは (2)

免疫力とは

免疫という機能は、侵入した外敵をやっつける、というイメージで描かれることが多いですが、そのイメージはとても偏ったイメージだと思います。免疫機能に問題があれば、免疫細胞は、健全な自己細胞も攻撃しますので、異物の侵入によって免疫機能が強くなった時、自分自身の臓器細胞へのダメージが大きくなり、臓器不全を起こす危険だってあります。だから免疫機能は常に強いのはダメで、常に弱いのもダメです。免疫機能は、強くなるべき時に強くなり、その時を過ぎれば、免疫機能は弱くなるべきなのです。そのような、動的バランスが大切です。また、日頃の不摂生やストレスで腸内細菌叢のバランスが崩れ、腸管バリアが弱っている人は、異物の侵入によって免疫機能が強くなった時、それは腸管バリアに対するストレスにもなりますので、腸管バリア機能がさらに弱ってバリアが破綻することがあります。腸管バリアが破綻すると、ちょうどダムが決壊した時のように、腸内細菌や、細菌が出す毒素が腸壁の毛細血管に流入し、その細菌や毒素に刺激されて、免疫機能がさらに強くなり、強くなりすぎた免疫機能によって腸管に炎症が生じ(大腸炎)、進行すれば、他の臓器にも炎症が生じ、大変なことになります(これを免疫の暴走と言います)。日頃から腸管バリアが弱くならないように、心がける必要があります。そのためには、腸内細菌叢での、腸管バリアを保護する細菌の働きが重要です。また、腸では、免疫機能が強くなりすぎないように、免疫機能を抑える働きをする細胞(制御性T細胞)を作っています。いざという時に強くなる免疫機能に耐えるための備え。あるいは、強くなりすぎた免疫機能を抑えるための備え。そういった動的バランスが取れるような体になっておくこと。それが、免疫力だと言えるのではないでしょうか。

図の引用、参考文献:
「粘膜バリアによる腸内細菌と腸管上皮の分離」
https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2017.890731/data/index.html

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