P-body、mRNP

相分離生物学

今回も、前回に引き続き、相分離にまつわる事、そして、以前からテーマとして多く取り上げているmRNAにも関係していることを、というわけで、P-bodyとか、mRNPを、テーマにしたいと思います。そして今回も、メモ書きの羅列となってしまうことを、お許しください(反省)。

  • mRNAは、それに色々なタンパク質が結合して、mRNA-タンパク質複合体(mRNP)を形成している。
  • 細胞質で、mRNAに、3つのeIFタンパク質(※)が結合した場合は、リボソームを呼び寄せ、リボソームによって、mRNAからタンパク質が翻訳される。
  • 細胞質で、mRNAに、翻訳抑制性タンパク質が結合した場合は、翻訳が抑制され、かつ分解から免れ、安定化する。
  • mRNAにタンパク質が結合した複合体(mRNP)は、細胞質内において、P-Body(Processing Body)という、液-液相分離由来の液滴を形成する。
  • P-Bodyは、翻訳が抑制されたmRNPや、mRNAを分解する酵素、そしてmiRNAとAgoタンパク質の結合によるRISC構造体などから構成されている。
  • リボソームで、mRNAからタンパク質が翻訳される過程で、異常なmRNAが検出されると、そのmRNAは、P-Bodyに送られ、mRNAを分解する酵素によって分解される。
  • 神経細胞の場合、翻訳が抑制されたmRNPを含む液滴(mRNP顆粒)は、微小管に沿って細胞末端に移動し、細胞末端で翻訳が開始される。
  • 翻訳が抑制されたmRNPは、状況が変化する(例えば受精卵が細胞分裂を開始する)と、翻訳が開始される。

(※)eIF4E、eIF4G、eIF4A、この3者複合体を「eIF4F」という。eIF4G がリボソームを mRNA 上に呼び込む。

<参考資料>
(1)膜のない細胞内小器官のミステリーに迫る! 大阪大学
 https://www.fbs.osaka-u.ac.jp/ja/research_results/papers/detail/1053
(2)P-Body 組成,性質および機能【JST・京大機械翻訳】
 https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201902227901720912
(3)mRNPの構造と機能の研究
 http://www2.riken.jp/matsumok/research.html
(4)リボソームによる異常な翻訳終結の認識と mRNA 品質管理機構 稲田利文
 https://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2018/12/79-01-09.pdf
(5)mPNAの 品質管理機構 J-Stage 
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/44/9/44_9_589/_pdf/-char/ja
(6)細胞質でmRNAと結合している蛋白質の解析 理化学研究所 松本 健
 https://www.nissan-zaidan.or.jp/wp-content/uploads/198032.pdf
(7)翻訳開始因子eIF4Eの相互作用調節による 翻訳制御機構 生物物理 https://www.jstage.jst.go.jp/article/biophys/56/3/56_168/_pdf
(8)翻訳開始過程を標的としたタンパク質合成のファインチューニング 日本生化学学会 藤原 俊伸
 https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2016.880135/data/index.html
(9)「伝令RNA」 理化学研究所
 https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=伝令RNA&mobileaction=toggle_view_desktop

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